ふと思ったんだけどなんで捕鯨してんの?
シーシェパードの活動員でも和歌山県太地町の出身でもないのですが、「今夏にも商業捕鯨再開」というニュースを見てふと思いました。
「ていうかなんで日本って捕鯨してんの?🐋」
もし日本人なら当然知っているべき事柄でしたらすみません。
私は上記の通り捕鯨関係者でもなく、ただの頭ゆるふわバカなのですが、単純に疑問に思いました。
(こんなことも知らないレベルの頭ですので、もちろん捕鯨賛成でも反対でもありません。)
馬鹿ですがクジラとイルカは好きなので(といっても「私ウサギ好きなんだよねーついウサギモチーフの小物買っちゃう」レベル)、ちょっと暇な時に調べるため備忘録的に書いておこうと思います。
ちなみに、海モチーフ・イルカ、クジラ、海の生き物モチーフの小物情報がありましたら是非コメントにてお知らせ頂けると大変喜びます。
こんな弱小ブログで言ってもいったい何人の方にご覧頂けるのか…という感じかもしれませんが、海モチーフとても好きなので一応…。*1
1.捕鯨の定義
日本の捕鯨の歴史は長いそうですが、ここでは現在・近い将来の日本の捕鯨ということに限りたいと思います。
具体的には現行スタイルの捕鯨が始まった1987年以降に絞る。
また、捕鯨にはクジラだけでなくイルカも含め、鯨類全体の捕獲ということで考えたいと思います。
2.日本が行う(予定の)捕鯨の種類
恐らく今の日本の捕鯨には
・調査捕鯨
・商業捕鯨 ←今夏再開予定
・国内での捕鯨
があると思うのですが、上二つ、要る?という単純な疑問です。
3.捕鯨を続ける理由とは
捕鯨の種類別に分けて考えたいと思います。
調査捕鯨
まず、調査捕鯨はその名の通り調査のために行われています。
ではその調査は何を目的にどういったことを調べており、致死性の捕獲が必要なものなのか?ということが問題になりますが、長年日本はIWCへの資料提供等を理由に調査捕鯨を続けてきました。
IWCというのは国際捕鯨委員会のことで、日本も加入していましたが諸々あり来月末で脱退します。
簡単に言えばこのIWCでは「しばらくの間は商業捕鯨はやめましょう」という規定(商業捕鯨モラトリアム)があったのですが、日本政府は「調査捕鯨の名目で実質的な商業捕鯨をやっている、ルール違反だ」とオーストラリア政府により国際司法裁判所に訴えられてしまいました。
そして数年にわたる裁判の結果、オーストラリア政府の主張が認められ、日本政府は敗訴しました。
(ちなみに敗訴した際に安倍首相が日本政府側代理人の某氏を激しく叱責したそうですが、その方は単なる政府のお役人で(確か元々は外交官でその後内閣官房入りされた方です)、日本の捕鯨に関する包括的な権限を持っていたわけでもなく、そんな人をいくら叱責してもお門違いで意味がないと思うのですが…。むしろ叱責したり報告を求めるべきは捕鯨を管轄する水産庁では?と思いました。)
要するに、大雑把に言えば「日本の捕鯨活動の一部はIWCのルール違反である」と国際司法裁判所が認めた、というわけです。
特に重要なのは、「日本は調査捕鯨としてクジラを捕獲しているが、その調査のために捕獲は必要なのか? その検討もしていないではないか」と判断されてしまった点です。
国際司法裁判所(ICJ)というのはその名の通り「裁判所」ですので、鯨類に対し特別な知見を持った専門機関ではありません。
国連の組織のひとつで、国家間の国際法上の紛争を解決する常設の裁判所です。
しかし、こうした問題に関してはお互いに専門家を引っ張り出し、「自分たちはこういうルールの条約に加盟している」「しかし日本はこうした行為をした」「これはルール違反/違反ではない」との主張を繰り広げるわけです。
また、裁判官も当然こうした専門家に対し質問をするなどし、お互いの主張のどちらが正しいかを判断します。
更に裁判官はすぐれた国際法の知識がある者に限り、偏りがないよう全世界から選ばれます。
当時の所長はスロバキア出身(チェコの隣で海なし国ですね)、副所長はメキシコ、その他は中国、フランス、アメリカなどの大国をはじめモロッコ、ブラジル、ウガンダ、ソマリアなどの裁判官から構成されていました。当時日本人の裁判官もいましたが、この方は現皇后・雅子様の父に当たる方です(ただ日本の皇族は政治的権限がないとはいえ、やはり「娘が皇后」というのはアウトなのか、六月半ば頃から元東大法学部長・岩沢先生に交代されます。「娘が皇太子妃」だとOKで皇后になるとアウトなのはなぜなのか、と言われそうですが、これは私にもわかりません。皇后になる前に交代しない辺り、その辺は厳しくないのかもしれません。)
こうした権威のある裁判所に日本がルール違反の捕鯨をしていると認定されてしまった、という事実は国際社会ではそれなりの重みをもちます。
ICJ判決を鵜呑みにするつもりはありませんが、調査捕鯨の必要性は再度批判的に検討すべきかもしれません。
国内での捕鯨
次に国内の捕鯨について、これは和歌山県太地町が有名ですね。
太地町は日本で唯一現在でもイルカ漁をしている場所です。
これについても正直詳しくないのですが、現在のイルカ漁には大きく分けて二種類があります。
イルカ食のための漁と、生け捕りにし、水族館へ販売するためのイルカ漁です。
後者は伝統的な食文化のためであれば、それに必要な量を獲ることは個人的には違和感はありません。
問題なのは後者の方です。
水族館のイルカ、生け捕りにされて売られたのを買ってたんだ…?
私は水族館大好きな人間ですが、初めて知ったときは結構衝撃でした。
後できちんと調べてまとめようと思いますが、現在日本国内で飼育されるイルカのほとんどが保護ではなく購入された個体のようです。
水族館の飼育環境に特に疑問を感じないという方であれば、水族館用のイルカ漁賛成の方へ傾くのかもしれません。
でも、ほとんどの種のイルカは群れで生活しますし、日本の水族館のプールはとても狭く、深さも浅いことがほとんどです。
展示用・イルカショー用に飼うためだけに、敢えて自然界にいるものを生け捕りにしたものを見たくはない、個人的にはそう思っています。
逆に言えば研究目的を兼ねて飼育され、できる限りの配慮をした飼育環境を整えているのであればありだなとも思います。
ただし、日本の水族館で研究目的でイルカを飼育し、その成果を発表している施設がいったいいくつあるのか?
正直疑問です。
また、日本の施設環境に疑問をもたない方でも、海外ではどうでしょうか?
日本で捕獲されたイルカは国内のみならず、海外へ運ばれ販売されることもあります。中国や中東では近年水族館ブームのようですが、そこでは設備や飼育環境が整っているのか?
この辺もきちんと調べてみないとわかりませんが、最近中国の動物園の劣悪な環境が度々話題になっており嫌な予感がしなくもありません。
(一応申し上げておきますが、私はネットでたまに見かける熱狂的な海外嫌いでもなんでもありません。)
4.現時点での感想
捕鯨の必要性について
調査捕鯨の必要性については、まだ必要な知識がほぼないので何とも言えません。
ただ、捕鯨の必要性でよく言われる「食文化の保護」と現行の捕鯨数の維持については正直疑問です。
クジラ肉やイルカ肉、現代の日本人ってそんなに食べてますか?
「食べてないし、食べたいと思ったこともない」という日本人がほとんどなんじゃないでしょうか。
20代の私は一度食べたことがありますが、硬くて脂っぽく、もう一度食べたいとは決して思いません。
そして周囲には「食べたことないし、食べたいと思ったことがない」という人が大多数です。
調査捕鯨で捕獲されたクジラの肉は条約上破棄が禁止されているため、市場に流れます。
でも実際に市場に出た肉のうちどの程度が購入され、消費されているのか、この辺をはっきりさせないと食文化の維持のために現行の捕鯨頭数の維持が必要とはいえないのではないでしょうか。
仮に食文化の維持のために必要だとしても、「日本近海で絶滅のおそれのない種に限り、許可された頭数のみを捕獲すれば十分ではないですか?」という反論がされてしまうわけです。
鯨肉食の安全性について
また、鯨類は大型動物ですので、仮に食用に用いるのであれば有害物質の蓄積も気になります。
(魚介類は)「自然界に存在する水銀を食物連鎖の過程で体内に蓄積するため、日本人の水銀摂取の80%以上が魚介類由来」
「水銀に関する近年の研究報告において、低濃度の水銀摂取が胎児に影響を与える可能性を懸念する報告がなされていることを踏まえ、妊娠中の魚介類の摂食について以下の注意事項を公表している」
と明らかにしています。*2
厚労省は上記と同時に
厚生労働省が実施している調査によれば、平均的な日本人の水銀摂取量は健康への影響が懸念されるようなレベルではありません。
特に水銀含有量の高い魚介類を偏って多量に食べることを避けて水銀摂取量を減らしつつ、魚食のメリットを活かしていくことが望まれます。
とも言っているわけですが、妊婦さん向けの魚介類食に関する注意事項の中で最も頻度を落とすべきといわれているのはバンドウイルカの肉であり、量も二ヵ月に一度、一回80gまでとされています。*3
結局、大型動物である鯨類には水銀をはじめとする有害物質を蓄積されやすく、特に妊婦さんは胎児への影響を考えまとまった量の摂取を控えるべきという結論は出ているわけです。
では有害物質汚染はどの程度で、どの位なら食べてもいいのかという話ですが、厚労省の調査では市場に流通した鯨肉類のPCB, 水銀量について基準値を上回るものが多数検出されています。
ダメじゃん!何のための基準?!という気がしますが、厚労省の見解*4は
鯨のPCB及び水銀による汚染濃度は、鯨の種類や部位による違いが極めて大きく、規制値を超えているものもあることから、より詳細な調査の下に食用に適当な種類と部位あるいは不適当な種類と部位を明らかにする必要がある。
とのこと。
更に、現在の流通状況では何クジラかがはっきり表示されていることは少なく、そこも問題だと同調査報告書では指摘されています。
つまり、もし安全に鯨肉食を食文化として確立させたいなら、はっきりとこうした事項につき調査を行い、現実に含まれる重金属類はどの程度なのか、それはクジラの部位や種類と関係するのか、などはっきりさせる必要があるわけです。
昔ならいざ知らず、「うーん、何か有害そうな重金属類が結構入ってることもあるけど、頻度減らせば大丈夫なんじゃないかなあ」ではこのご時世済まされません。
完全に管理された小麦粉、家畜肉、野菜などを使って食品を調理する工場ですら、原料の抜き打ち検査をし、更に加工工場では厳重に衛生環境を保つことが求められる時代です。
鶏、豚、牛と違って野生動物を食べようとすると安全性の確保には大変な手間がかかりますが、管理下の家畜と違い人の手を離れて生きる野生動物について知るのに手間がかかるのは避けられません。
特に胎児への影響が出うるとなれば、赤ちゃんの命を預かり、お腹の中で10ヵ月育てるお母さんたちとしてはいくら伝統食だろうと食指は伸びません。
また妊娠に気付くのは着床後すぐではないことを考えると、食べ控えの対象は妊婦さんのみでなく、妊娠を希望している女性にまで広がります。
5.今後調べたいこと
完全に個人的な備忘録と化してますが、
・調査捕鯨の頭数、クジラの種類、目的、調査法の必然性
・調査捕鯨報告書の各機関からの評価
・国内捕鯨の現状
・国内の鯨類肉の流通状況、消費状況
など暇な時に調べようかなと思っています。
*1:ちなみに、インスタでクジラグッズ等のタグ検索すると最新のグッズ情報が手に入ります。最近だとスタバ限定タンブラーなどがクジラモチーフでかわいかったです。
*3:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf